俺様でヤキモチな彼氏様
「ごめん、あたし友達と約束があるから₋₋₋。」



今は早く龍の元から去りたい。



早く離れなきゃいけない。



気づかれてしまうかもしれないから₋₋₋。



あたしが泣いてることを₋₋₋。



「はっ?何でだよ、もう少しいろよ。」



「ごめんね、約束だから₋₋₋。」



声が震える。



でも、今は必死で抑える。



「₋₋₋結?どうした?」



あたしの声が震えてるのが分かったのか、少しずつ近づいてくる龍。



こんな時にだけ名前で呼ばないでよ。



「なんでもない。」



早足になるあたしの足。



早く屋上から出なきゃ₋₋₋。



「₋₋₋結、こっち向いて?」



「いやだ。」



今向けば泣いてることがばれてしまう。



だから絶対向かない。



「₋₋₋泣いてんの?」



「₋₋₋泣いてない。」



扉を開けようとしたけど、その手を掴まれる。



「離して₋₋₋。」



「こっち向いたら離す。」



そんなの無理だよ。



向ける訳ない。



向いたら、泣いてるのばれるじゃん₋₋₋。



そして少しの沈黙。



沈黙は嫌だけど、今はこうしてたいと思ってしまう。



ずっと、龍といたい₋₋₋。



そう思っていたら後ろからため息が聞こえた。



「あっ、結ちゃんの肩に毛虫がのってる。」



えっ?



毛虫₋₋₋?



「い、いやぁぁぁぁ!」



反射的に後ろを向いてしまう。



あっ、向いちゃった₋₋₋。



龍と目が合う。
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