「囚われ姫~星屑は魅惑の花の香に抱かれて~」
「でももストもねぇ。今日は俺の奢り。その代わり俺のこと“誠”って呼んでよ」
「誠?」
「そ。俺の名前は音羽誠[オトハマコト]ってんだ。17歳。姉ちゃんは?何て呼べば良い?」




あたしは女子からは普段から呼び捨てされているし、男子は呼ばないし、呼んでもまばらだ。
だから男の人に名前を呼ばれるなんて思っていなくて。




「あたしは刹那。宮星刹那。18歳の大1よ。適当に呼んで」
「刹那サンいい名前もらったね。」
「うん!」




マナに張り合えるのは名前だけだから、それを誉められてもらえて有頂天なあたしはきっと、大学に入って初めて、心からの笑顔を見せただろう。

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