「囚われ姫~星屑は魅惑の花の香に抱かれて~」
「刹那サンさぁ、何で逃げてたの?」
「あたしね、“愛されたくない”ってずっと思ってたの。愛されてもそれに見合ったモノを返せないし、痛いの嫌いだし…愛してもらっても愛せないって」




長蛇の列の出来るジェットコースターを眺めながら苦笑する。
あたしの好きなジェットコースターは全部人気で並ぶから、これだけは乗りたかったのに…と嘆息し首だけで誠を振り向く。




「だからあの追ってきた男を愛してしまった自分に混乱した…ってところかな?」




答えようとしないあたしにアイスを差し出して、誠はどこか懐かしい表情を見せる。
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