「囚われ姫~星屑は魅惑の花の香に抱かれて~」
「『刹那で遊んだりするんじゃなかった。刹那が思う以上に刹那を愛してる。死にたくねぇ。刹那を失いたくない』先輩を騙してたくせに何言ってんだって俺思わずキレちゃって」
「え?だって誠くんは…」




そう。誠は一度もキレたことはなかった。
少なくともあたしがたけの彼女だった頃は。




「そうしたらアイツ涙見せたんです。アイツ人前じゃ絶対泣かないのが主義だったのに。それを見て本気だったんだって気付いたんです。だから俺はアイツと約束した…『大丈夫。帰って来れなくても俺が先輩を護るから』」
「嘘よ!」
「嘘じゃないです。俺の言葉を聞いたアイツはオペを受けると言った。でも悪魔が微笑んだ…」




誠の頬を涙が伝う。
今まで男の涙ほど見苦しいものはないと思っていた。
けれど眼前の誠の泣き顔は、絵になるほどに美しくて。
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