「囚われ姫~星屑は魅惑の花の香に抱かれて~」
どこに行けば瑠愛に逢えるかなんて解らなかった。
けれど瑠愛をあれ以上傷つけたくなくて。




東?南?
どっちも違う気がして動けないあたしのバッグの中で、ふいに携帯が震えた。




「お前が人気モデル夏凪か?」
「人気かどうかは知らないけど、あたしは夏凪よ。瑠愛をどこへやったの?」
「久しい声音…やっと当たりが出たな。神崎夕俟の寵姫、宮星刹那サン?」
「あんたあの時逃げたボス?」




あたしの携帯から漏れる音声とあたしの切り返しに、マズイことになったと豊浦組の組員に連絡を取ろうとする夏乃が、視界の端に映る。

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