「囚われ姫~星屑は魅惑の花の香に抱かれて~」
「腹の子は産みたきゃ産めばいい。俺たちが育てるのは手伝う」
「夕?!」
「兄様?!」




衝撃的な言の葉があたしの胸に深く突き刺さる。
やっぱりこの人も“あたし”を愛してくれないんだと、そう思った刹那、あたしの中で何かが音を立てて弾けた。




「夕俟様の馬鹿ッッ!何でそんなこと言うのよ。あたしを夕俟様の姫にしてくれるんじゃないの?」




あたしがなるようになれと使った現代語に、豊浦組の組員さんみんな(夏乃除く)が驚きの色を浮かばせる。
神崎さんに古風な子とでも聞いていたんだろう。


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