「囚われ姫~星屑は魅惑の花の香に抱かれて~」
夏乃の後方から走ってくる男の人影が見えた。
あたしが走って逃げようとするのを感じたのか、瑠愛があたしの背に語り掛ける。




「アンタも女でしょ。ジャスミンになりな。アラジンは夏凪を待ってくれてるみたいだしね」
「ん。あたし瑠愛みたいなジャスミンになりたいな。またどこかで逢おうね!」
「ええ」




甘く、残酷な嘘。
二人がこの先逢うことはないだろう。




それでも甘い罠には自ら填まりたくて。
逢うことはないと解っているからこそ。

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