「囚われ姫~星屑は魅惑の花の香に抱かれて~」
開けられずにドアノブを握るあたしは、神崎さんの誘導尋問に耳を疑う。
何で部下を気遣えるのにあたしを気遣えない?




「夕には隠し事出来ねぇな。そうだよ、俺は夏乃が好きだ。夕が姐御を愛するように」
「なら何で好きだと夏乃に言わない?」
「夕こそちゃんと言ったの?姐御、自分ばっか夕を愛してるとか思ってるんじゃない?」




神崎さんの勢いは隼人のそんなセリフで消える。
それもそうだ。
神崎さんは「姫になれ」とは言ったが「愛している」とは言っていないから。




「じゃ、夏乃の気持ちはどうでも良いのね、隼人殿?」
「姐御、聞いて…?」

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