「囚われ姫~星屑は魅惑の花の香に抱かれて~」
「嫌よ。いくら姉サン直々のお願いでも聞けない!」
「俺もッス。姉サンが幸せになれないなら誰が幸せになるんスか?」




最もらしく言い放つ二人が可笑しくて。
二人ならそう言うと思ってたけど、本当にその通りだった。




「解ったわ。じゃああたしより先に幸せになって?さっきの隼人殿の言葉、全部聞いてたんでしょ、夏乃?言うことはないの?」
「ね…姉サンの悪魔!鬼ッッ!」
「何とでも言いなさい。聞いていてあげるから全部吐き出しなさい?」
「ーっ、鬼畜ッッ!」




膨れる夏乃に、あたしは小悪魔に微笑ってみせる。
中学時代、もう捨てた遠い過去にあたしは『小悪魔なる恋愛天使[こあくまなるキューピッド]』の通り名で罷り通っていたのだ。
コレがあたしの“本当”よ!

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