パーフェクトティーチャー
数秒後。


「ギョエ~ッ」というほたるの悲鳴が校内、いや街中に響いた。


映っていたのは他ならぬ、氷室だったからである。


ほたるはショックのあまり、歯をガタガタと震わせている。


「ようやく気づいた?
これって、どう見ても氷室先生でしょ?」


ほたるは言葉が出ない。


入れ歯を取られたお年寄りのようにアワアワと声を発するのがやっと。


目はうつろで焦点が定まっていなかった。


一方の智香は元気いっぱい。


水を得た魚のようにはしゃぐ理由は、無論スキャンダルが大好きだからである。


そう。


彼女はケーキビュッフェよりも、イケメンとのデートよりもゴシップが好物なのだ。


「まあまあほたるちゃん。
そう落ち込むなって」


智香が慰める。


言葉とは裏腹にニヤニヤし、ほたるの肩を揉む。


楽しくてたまらないらしい。

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