パーフェクトティーチャー
オロオロしていると、氷室が
「ルック!」と叫び、もったいをつけた後、淡いブルーのカーディガンのポケットからほたるの携帯を「ジャーン!」と叫んで出して見せた。


熟練したマジシャンのような鮮やかな手つきだった。


「あれ?
いつの間に落としたんだろ・・・」


「ハハハ。
ついさっきだよ。
廊下を走ってる時さ。
落っことしたのに全然気づかないんだもん」


氷室が白い歯を覗かせる。


「すみません」


ほたるはぺこりと頭を下げた。


「これから誰かと約束でもあるのかな?」


「はい?
どうしてそう思うんですか?」


「だってほら。
やけに急いでるみたいだからさー」


「はあ」


「デートかい?」


「ち、ちがいますよ!」


ほたるは全身を使って思いっきり否定して見せた。





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