パーフェクトティーチャー
向かいの長椅子では先ほどの中高年がアロハ男に何やら早口でわめいている。


アロハ男は渋々カバンからパソコンを取り出すと、長椅子で広げ、キーボードを打ち始めた。


この人たち、何者?


気になるが、それより何より氷室の返答だ。


『氷室先生、お願い。
絶対キスなんかしないで。
そんなおぞましい光景を見たら、私この場で舌を噛んで死にます。
山上先生の気持ちに答えたりしないで』


心の中でそう繰り返し、手を合わせる。


やがて氷室はいった。


「ちょっとちょっと。
気持ちわりぃよ。
よるな!」


発せられた言葉は無論、山上に向かってのものだ。


ドンと肩を押された山上が後方に吹っ飛び、地面に尻もちをつく。



< 138 / 207 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop