パーフェクトティーチャー
「コラコラ。
おばはん、いったい何が言いたいねん!
しばいたろか!」


お笑い志望の真美からすかさず厳しいつっこみが入る。


嫌いといっておきながら、ゆりりんのインタビューの様子を多くの女生徒が傍観していた。


嫌いだと余計に気になるものである。


「ちょっとカメラマンさん、止めてくれますか?」


ゆりりんはムッとした顔で吐き捨て、次にディレクターに耳打ちした。


ほたるには口の動きが読めた。


そう。


彼女は読唇術の達人なのだ。


簡単にいうと、ゆりりんの言い分はこうである。


「あのさー、こんなオバさん、撮ってもしょうがないじゃん。
リアクションもさっぱりだしさー。
これじゃ視聴率、ガタ落ちだよ。
今一番テレビ見てるのは暇な主婦なんでしょ。
それならさー、いかにも主婦が食いつきそうなさー、イケメン教師に話聞いたほうがよくねえ?
そういう先生、この学校にはいないの?」


ついにゆりりんの本性見たり・・・


ほたるはそんな心境だった。


ディレクターは彼女の言いなりらしく、激しく首を縦に振って同意する。


女王様と召使いのような関係であることは明白だった。


世の男はこうも狡猾な女に弱いものか・・・


ほたるは悲しい気持ちになる。




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