パーフェクトティーチャー
遠くで手を振るのはクラスメートの城咲あおいだ。


山の頂上で叫ぶみたいに、恥ずかしげもなく大声でほたるを呼んでいる。


「アンタ、来るの遅いよ！」


「ごめんね。
遅くなっちゃって」


「ドリンクバー、すでに３杯目だよ。
もしもおなかがピーピーになったら責任とってもらうからね」


「本当にごめん」


あおいはいつも強気だな、とほたるは感心する。


それには理由があった。


彼女の父は日本人なら誰でも知っている自動車メーカーの社長だった。


他にもたくさんの関連会社を束ねている。


あおいはその一人娘なのだ。


確かに遅れたのは悪い。


だけど、そもそも相談があるから時間を作ってほしいと頼んできたのはあおいのほうである。


もう少し気を使ってくれてもいいのにと、ほたるは寂しく思った。




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