パーフェクトティーチャー
ゆりりんはゆっくり時間をかけてカエルを丸呑みするヘビのように、根気よく攻撃を続けた。


「次はストレッチ体操を教えてくださいよ」といってグランドの上に足を投げ出し、氷室に後ろから背中を押させようとする。


スキンシップを図ろうという魂胆だ。


校門の外で見守る野次馬たちが羨望の目を向けている。


ほたるはガマンの限界だった。


あのクソ女だけは許さねえ。


ほたるは補欠の部員に頼み込み、使ってない練習着を借りて更衣室に消えた。


やがて練習着に身を包んだほたるが颯爽と現れた。


「ゆりりんさん、はあじめまして。
私・・・ソフトボール部の月越です。
私が練習のお相手をしますわ」


真美が言う以前にグランド中の生徒が
「お前、ソフト部じゃないじゃん」と一斉につっこんだ。


ゆりりんは憮然とした顔でいった。


「私は氷室先生と練習がしたいの。
アンタなんかとはやらない。
アンタは端っこで自主練してればいいわ」


「そんな冷たいこといわずに。
私はゆりりんさんと練習がしたいんです」


ほたるが食い下がる。


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