パーフェクトティーチャー
「時にはつらい思いもしてるんだろ。
違うのかい?」


ふたたびびこくりと頷くほたる。


「言いたくなけりゃ言わなくていいさ。
誰だって心にしまっておきたいことの一つや二つ、あるからね」


エリは気の毒そうに言って、メンソールに火をつけた。


『アンタも吸うかい?』
というような顔をする。


「いえいえ。
とんでもない」


ほたるは手を顔の前で左右に振った。


「アンタの手相は特殊すぎだよ。
申し訳ないけど、占えないねえ」


「そうですか・・・
それは残念です」


「けどね、長く生きてると手相なんか見なくても、相手の考えてることがだいたいわかるもんなんだよ」


エリはおいしそうに煙を肺に送り込むと、思い切り吐き出し、にっこりと笑った。


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