パーフェクトティーチャー
「幸い、熱はなさそうね」


外国製の上品な人形のような白い手をほたるの額にあて、宮原かすみは小さく微笑んだ。


やさしさと気品にあふれる笑み。


広告に出てくるいいところのお嬢さんを彷彿とさせている。


「自分でもわかるんです。
私たぶん、風邪じゃないと思うんです」


ほたるがそう自己申告する。


すると保険教師は少し考え、


「そうじゃなかったら、遊び疲れかしら?」


と答えた。


「いえいえ。
それはもっとないです」


「じゃあ何?
わかった!
勉強疲れだ!」


「いえいえ。
それは、もっともっとないです。
少し時間がたったらよくなると思うんです。
ここでしばらくの間、休んでもいいですかね?」


「ええ、いいわよ。
よかったらベッド使う?」


「いえ。
こうして座って、宮原先生と少しお喋りしてたら良くなると思うんですよねー」


「あらそう。
じゃあ、先生とどんな話、しよっか?」


保険教師だけあって、かすみはどこまでもやさしい。




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