パーフェクトティーチャー
「ご覧になって理事長はどんな感想を率直にもたれましたか?」


「そりゃー、腹が立ったわよ。
腹が立つに決まってるじゃない。
うちはいつ潰れてもおかしくないっていうのにさー。
Y校ときたら、入学希望者が後をたたないっていうじゃない。
ほんと、皮肉だわ。
ああ、悔しい!」


「なるほど。
では、なぜ人気があるのか、わかりますか?」


「見たから知ってるわよ。
その番組で散々持ち上げられてたカリスマ教師が大人気なんでしょ。
ああ、悔しい!」


「そうなんです。
マスクもいい、教え方もうまい、コミュニケーション能力も高い、生徒や親の受けもいい。
非の打ちどころのない教師のようなんですよねー」


「だから何なのよ。
ライバル校の教師をアンタがほめてどうするのよ。
バカじゃないの?」


「まあまあ理事長。
心をおしずめください。
私、気になって調べてみたんですよ」


「あら・・・何を?」


「もちろん、あのカリスマ教師についてですよ」


「へえー。
あんたにしては仕事が早いわね。
で、何か弱みでも握ったの?
どんな弱みかしら?
本当はとんでもなくハレンチな教師だったとか?
もしそうならすぐにマスコミに情報を流しましょうよ。
A出版の週刊Bあたりがいいかしらね。
あの雑誌なら派手に扱ってくれそう。
ゴシップ大好きだものね、あの雑誌」


「まあまあ理事長。
とりあえず落ち着いてください」



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