パーフェクトティーチャー
などと二人が長々と揉める中、アリーナにしつらえられた職員用テントで軽く息をはずませる氷室に熱い視線を注ぐ女性がいた。


2年A組の生徒、黒田彩名の母、黒田さきえ。


いや。


黒田真奈美といったほうがわかりやすい。


桃百合学園に娘を通わせる女たちの多くは金銭的に余裕があり、名の通ったブランドとアクセサリーに身を固め、派手に着飾っている。


だが、黒田真奈美の魅力には誰もかなわなかった。


かなうはずがない。


なぜなら、彼女は『女優』である。


しかもゴールデンタイムのドラマや映画で主演をはるトップ中のトップ女優だった。


黒田真奈美とは彼女の芸名なのだ。





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