パーフェクトティーチャー

二十歳過ぎで結婚・出産を経験したため、高校生の娘を持つ他の母親に比べるとまだ若い。


二十代で演じた役が見事にハマり、その後もことごとく主演で起用され、と同時に演技の才能を開花させ、不惑を過ぎた今も第一線で活躍していた。


「あのー、氷室先生でいらっしゃいますね。
いつも娘がお世話になっております」


体育祭が終わり、氷室が他の職員とテントを片付けていると、真奈美が近寄り、自然な流れを装って声をかけた。


一流芸能人独特のオーラに周囲にいる者たち全員が目を奪われる。


「いえいえ。
こちらこそ。
最近の彩名さんはメキメキと成績が上がっていて、ボクも感心してるところなんですよー。
がんばってますよ」


「いえいえ。
先生の教え方がお上手だからですわ。
オホホホ」