パーフェクトティーチャー
しかし、生徒の母親に恋心を抱かないように設定されている氷室の回答は果てしなく素っ気ない。


「ふーん、そうなんだ」


整形した鼻から真奈美は思わず高級ワインを吹きそうになった。


クラシックのBGMをかきけさんとする勢いでいつまでも激しくむせる。


「黒田さん、大丈夫ですか?」


「ゴホゴホゴホ。
ええ、大丈夫よ・・・」


信じられない。


真奈美の心の中はその思いでいっぱいだった。


大女優である私の誘惑をなんなくスルーする男がこの世にいるなんて・・・。


なんてデリカシーのない男なの!?


あるいはこの男、バカなの?


もしかして美人が苦手な人種?


それともあっちの趣味なの?


真奈美はナプキンを鼻にあて、氷室をキッと睨んだ。



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