パーフェクトティーチャー
一方で、プライドを傷つけられたことで余計に、そして確実に、彼女の心にメラメラと火が付いたのも事実だ。


何が何でもこの男を振り向かせてやる。


そうしなきゃ私の自尊心がおさまらない。


どんな手を使ってでも落としてやろう。


私という底なし沼の、深い深い奥底で、私の魅力に溺れるがいい。


フフフ。


女優業は肉食系女子で、本物の魔女でなければ務まらないものなのだ。


「ところで、この前会ったとき、役作りのことでボクに聞きたいことがあるとかなんとか言っていましたよね?
あれはもういいんですか?」


今日初めて聞き、二時間後には忘れてしまっていそうな長い名前のスープを口に運びながら、氷室が水を向けた。


「そうそう、そのことね。
うれしいわ。
ちゃーんと私の相談のこと、覚えててくれていたのね~」


お得意の猫なで声で戦闘モードに突入した。




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