パーフェクトティーチャー
「今度のドラマはね、とてもとても刺激的な内容なのよ。
きっと、話題作になるのと同時に問題作にもなるわね。
私は夫も子どももいる人妻の女教師を演じるの。
だけど、職場の若い男性教師とプラトニックな純愛の末、男と女の関係に落ちるストーリーなのよねえ」


まったくのデタラメだった。


テキトーな創作だ。


「当然、そんな経験、私にはないでしょ?
私の職業は女優だから。
実際、学校の先生と付き合ったことなんてないわけだし。
先生との恋愛ってどんな感じなのかなぁと思って。
もともと興味あったし」


「はあ。
それでボクに何をしろっていうんですか?」


「そこでよ!
氷室先生のような素敵な男性教諭と、こうして楽しい夜を過ごしたら役作りのイメージが湯水のようにわくんじゃないかなーと思ってお誘いしたのよ」


氷室を見据える女優の瞳は潤んでいた。


もちろん、演じているにきまっている。


女優にとってはそんなこと、お茶の子さいさいだ。



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