パーフェクトティーチャー
「大変お待たせいたしましたー。
メインのお料理をお持ちいたしましたー」


白いブラウスに黒のスカート、首の下に蝶ネクタイをしたウエイトレスが豪勢な料理をエレガントな台車に乗せて運んできた。


真奈美も氷室もつい彼女を二度見してしまった。


店の中だというのにサングラスをかけ、口元をマスクで覆っていたからだ。


高級レストランには似つかわしくないいでたち。


無論、正体はほたるだった。


雨の日や風の日はもちろん、やりの振る朝も星の降る夜も、ほたるはいつだって氷室のことが気になって気になって仕方がない。


かなわぬ恋とあきらめようとすればするほど、想いがつのり、胸を熱く焦がした。


だからこうして貴重な週末の夜を返上して氷室の監視にやって来たのだった。


純粋といえば聞こえはいいが、確実に常軌を逸している。


ほたるは氷室のこととなると人が変わるのだ。







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