パーフェクトティーチャー
これでは最高級の食材を使った目玉メニューは台無しだ。


それほど汚らしい切り分けだった。


ほたるはめげずに作戦を続けた。


「あのー、
私のことはいないものと思ってどうぞお二人、会話をお続けくださいよ」


「できるわけないでしょうが。
部外者のいる前で。
せっかく濃密な会話を楽しんでたのに」


真奈美が棘のある言葉を返した。


「そうかなぁ。
私は気にならないけどな。
お話を続けてくださいな。
お二人さん」


「うるさいわね。
アンタに指図される筋合いないし、アンタの話なんて聞いてないのよ。
ベラベラとうるさい店員ねー」


「私は第三者がいても平気でおしゃべりできますよ。
カラオケの店員がドリンクを運んできても平気で歌い続けられる人と、つい歌うのを遠慮しちゃう人がいるでしょ。
私は昔からバリバリ前者ですからー」


「だーかーらー、アンタの話なんて聞いてないって言ってるでしょ・・・
ってちょっと!
氷室先生!」


氷室は我慢しきれず、ゲーム雑誌を読みふけっていた。


赤いペンで大事なところに下線を引きながら。


なるほど。


こうすればいいのか。


などと、独り言をつぶやきながら。



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