パーフェクトティーチャー
「意外にも、氷室先生も嬉しそうにしてるんですよ。
飲んだ帰りなんか、時々手をつないだり、肩を組んだりしてるんですよね」


「ちょっとやめてちょうだいよ。
たしかに恋愛は自由よ。
けれども、うちに限っては男性教師同士の恋愛は禁止にさせていただくわ。
どうしても愛を貫くというのならば、何かしらの方策を立てないといけないわ」


「ええ。
理事長のおっしゃる通りだと私も思います。
氷室先生のスキャンダルは何が何でも阻止しないといけませんよね。
うちの経営は氷室先生の人気によって支えられているわけですし・・・」


そのとき、武田の中年太りの身体にビビビビッと電流が駆け抜けた。


「ま、ま、ま、まさか・・・」


口から泡を吹き出さんばかり。


めまいがし、よろけた。


「校長大丈夫?
どうかしたの?」


里中が血相を変え、武田のブヨブヨの躰を支える。


「すみません、理事長。
お見苦しいところをお見せしてしまいました」


武田は短く詫びると、おぼつかない足取りでパソコンに向かった。


「武田校長、どうかしたの?」


「ええ。
確認したいことができまして・・・」


武田はパスワードを打ち込み、氷室の設定画面を開いた。



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