パーフェクトティーチャー
「ほたるはこのこと知ってる?」


智香が丸めた雑誌をほうり投げる。


コントロールミスをしたため、軌道が少しずれたが、ほたるが抜群の反射神経でキャッチした。


「ああ、この雑誌なら知ってるよ。
あれでしょ?
街中で勝手に撮った写真を勝手に載せちゃってて、今問題になってる週刊誌でしょ」


「そうそうそう。
さすがにほたるも知ってるか」


「もちろん知ってるよ。
すごーく話題になってるじゃん」


ほたるの言うように、世間で大ヒンシュクを買っている雑誌だった。


個人情報の厳しい時代によくやるものだとほたるも呆れていたほどだ。


事実、訴訟が絶えないそうで、良識ある人たちから非難されている。


その一方で、センセーショナルな誌面作りにカルトな読者が群がり、今どきではあり得ないほどの部数を誇ってもいた。


雑誌業界に波紋を広げる一方で、一石を投じているともいえるのだ。


品行方正な雑誌なんてくそくらえ。


売れなきゃ意味がないだろ。


この雑誌の編集長の主張だ。


ある意味で間違っていて、ある意味で正しい。







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