Ｍarius−マリウス−前編

「この命、ケンペクト様にお預けいたします」
「その言葉、しかと受け取ったっ。ゴーシン、お前の配下から、剣の腕がたち、尚且つ、生命力があり、マリウスに忠誠を誓える者を二人選んでくれ」
「はっ」
ゴーシンは座ったまま頭を下げた。ケンペクトは立ち上がり、部屋を出ようとし、ドアに手をかけて、まだ頭を下げたままのゴーシンを振り返った。