Marius−マリウス−前編

 ゴーシンと別れて、ケンペクトは地下室へと向かっていた。そして廊下の角を曲がろうとしてふと足を止めた。
「そろそろお呼びが掛かる頃かと」
角から音もなく、ケンペクトの前にアツオラが現れ、頭を下げた。
「さすがだな、アツオラ。我々がマディオス様の所に行ったのも、お見通しか」
「マディオス様、ニシキアス様、ケンペクト様の『気』を感じておりました」
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