百鬼夜行の主
『所詮、この程度の妖怪か…』
轟ッという音が鳴る。
私の背後から、聞こえる。
鬼灯を静かに抱きしめる。まだ微かだが、息はある。
大丈夫…ワタシガ…マモッテアゲルカラ…
『…死ね』
再び、轟ッと言う音が聞こえる。次第に大きくなるその音は、私の灯を消そうとしていた。
ダイジョウブ…ホオズキダケハ…ゼッタイマモルカラ…
刹那、
「主様!!」
冷たい、氷のような声が響いた―雪羅だ。
『…クッ…』
何かが凍り始める音が背後から聞こえた。
『…とんだ邪魔が入ったな』
突風が、巻き起こる。
…生きてるんだ…私は…
瞬間、視界が暗くなる。
霞がかかったように、視界がぼやけ私は黒に引きずり込まれる。
「主様!しっかりなさってください!主様」
雪羅の声が遠くなる。私の意識は、とんだ。