百鬼夜行の主
百鬼のざわめきが、静かなグラウンドに響き渡る。互いの百鬼が、動揺しているのを感じた。
気狐はただ、唇を噛み何も答えなかった。
どうやら図星のようだ。私は刀を地面に突き刺し、ゆっくりと気狐の前にしゃがんだ。
『…教えてくれ、お前を縛っているその復讐は何故なんだ…?』
私は気狐に問いかける。気狐は一向にこたえようとしない。
―黙っているつもりなのだろうか…?
瞬間、
『…俺の親父は、お前の親父に殺された』
気狐が弱弱しく、しゃべり始めた。
『…俺の親父は、天狐に…神に一番近い空狐だった…その親父は、お前の親父…鬼李の百鬼夜行にいた。だが、俺の親父はてめえの親父に反旗をひるがえしたという冤罪をかけられ殺された…忠誠を誓った主に殺された…』
気狐は、ただ静かに話していた。父親が殺された後、母親が病死し天涯孤独になった気狐が復讐を考え始めたこと。その為に、強くなり百鬼夜行をたくさん滅ぼしたこと。私を見つけた後殺すために百鬼夜行を作ったこと―
私はただ静かに気狐の話を聞いた。