百鬼夜行の主
「暑かった~…」
私は制服を脱ぎ捨て、部屋着に着替えるとベッドに横になった。
横になり、天井を見上げる。いつも通りの白い天井には誰かの影が映っていた。
ベッドから起き上がり、窓を開ける。ベランダの柵の上は、銀色の9つの尾を揺らした気狐の姿があった。
『よぉ、鬼李の娘』
「どうしたの?」
気狐がベランダに降り立ち、私に近づく。
『色々見て回ったが、特に妖怪はいなかった。それだけ伝えにきた』
「分かった…お疲れのようだから、上がって。アイスでもあげる」
気狐が茶髪に碧眼の人間の姿に化ける。
私はキッチンの冷凍庫からアイスを出し、気狐に渡した。