【完結】俺様吸血鬼(バンパイア)に恋しました。
あの日以来、あたしはアイツの言うことを聞くふりをして、ずっと逃げるすきを探していた。
だけどなかなか、逃げるすきを与えてくれなかった。
ーーーーーきっと、アイツは、分かっているんだ。
あたしが逃げたいと思っていること。
それでもあたしがいい子を演じていることで、なんとか何もされずにいる。
………このまま、何事もなければいいのに、とさえ思ってしまう。
「……おい」
「……はい」
「夕食の時間だ。来い」
「……はい」
食事は必ず一緒に食べるというルールがある。
出されるものは、人間と同じ食べ物。
月が出るところにさえいなければ、生活はほとんど人間と変わらない。
………吸血鬼だということを、時々忘れてしまう。