KISS

いつもなら。


退屈でこっそり携帯いじったり、桜と手紙まわしたりするような授業も、今日は何故か真面目に受けた。


今まであまり開いていなかったノートも開いて、板書を写した。


休み時間の度に桜があたしの席に来たけど、ひとりにしてと言って逃げた。


何を傷ついているのだろう。


大体、付き合ってたのは陸ちゃんだけじゃない。


あたしが知ってるだけでも木之下がいるし、他にもたくさんいる。


・・・だけど、こんなに目の前で思い知らされたらどうすればいい?


眠いはずの午後の古文の授業、真っ白なノートをひたすら見つめていた。


窓からの光が反射しているせい?


ノートが霞んで見える。


・・・巧の後ろ姿さえも。
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