KISS
廊下をゆっくりと進む海くん。


「・・・ここの高校はテニス強いみたいですね」


沈黙を当たり障りのない内容で破る。


「ん、そこそこ」


あたしもちゃんと答えた。


「・・・えみは気づきませんでしたか?」


「え?」


海くんの突然の問いに、戸惑った。


「陸です」


陸ちゃん・・・?


「陸と1年前に再会したアイツはすぐ気づいたみたいですが」


そこまで言って、海くんは苦しそうに顔を歪ませた。






「陸は、もうテニスをやめました」
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