KISS

その頃、教室では。


キーンコーンカーンコーン・・・


「じゃー、今日はここまで」


教師が帰るなり、桜は巧の席に近づいた。


「ちょっと来て」


「・・・話なら龍から聞いて」


「あんたの話なんか聞かないわよ」


桜は巧を一睨みした。


「・・・言いたいことあるから」




「・・・あたしはね」


体育館裏にて。


授業開始のチャイムがなろうとも、桜は気にしない。


「雪宮くんのこと、大嫌い」


・・・にっこり笑顔で言うことではない。


しかし、桜は笑顔を保ったまま。


「いつもあたしの大事なもの、とるから」


そのとき、急に顔を歪めて桜は俯いた。


「・・・だけどね」
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