KISS

翌日の朝、あたしは気合い充分で巧の家に来た。


チャイムを鳴らそうとしたその瞬間。


ゴッ!


「・・・〜っ」


・・・玄関のドアが開き、頭にクリーンヒットした。


「えみちゃん!?ごめんねっ、大丈夫?」


旭さんがオロオロとあたしに触れる。


「だ、大丈夫・・・巧は?」


「あら、聞いてない?」


旭さんがあたしを一旦家に上げながら、戸惑った顔をした。


「今日は栗原さんの迎えに行ったのよ」


・・・陸ちゃん?


あたしは目の前が真っ暗になるような感覚を覚えた。


そんなあたしに濡れタオルを差し出して、旭さんが微笑む。


「勘違いしないでね」


え・・・?
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