KISS
放課後。


あたしと海くんは、陸ちゃんが入院する、巧の家の総合病院に向かった。


「陸が体を差し出した、って意味分かりましたか?」


「あ、うん」


そのことを聞かれたとき、あたしは少々恥ずかしくなる。


・・・あたし、すごーい勘違いをしていた気がする。


か、体とか・・・その。


「病院に足のこと、任せたって意味でしょう?」


「陸にとって命と同レベルですから」


あたしの顔を覗き込んで、海くんが笑う。


「勘違い、しましたか?」


「・・・海くんがまぎらわしいこと言いますからね」


あたしが軽く海くんを睨むと、海くんはひとしきり笑い、途端に真面目な表情になった。
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