KISS

病室を出て、長い廊下をゆっくりと歩く。


・・・あたしは巧の手を離せない。


いつもあたしを導く、少し骨張った手を。


離したくない。


・・・そう思っても大丈夫?


あたしは、誰よりも巧の傍にいたい。


・・・そう思ってもいいかな?


次繋いだら、もう二度とは離さない。


離せない。




・・・あたしってやっぱりわがままだ。


自分で嫌気がさして、ため息をついた。




「えみちゃん、ため息は体に良くないぞ〜」


「はあ・・・分かってるんですけど」




・・・んん?


今の、声って・・・!
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