KISS

言ってもいいのかな?


何かが変わることに、あたしはいつも怯えている。


「笑」


沈黙を破ったのは、巧の方。


「昔、約束したこと覚えてる?」


「・・・?」


約束?


「俺、何よりも笑のこと優先するって言ったじゃん」

・・・それは、何年も前に交わした約束じゃなかった?


巧が躊躇いがちに、あたしの腕を引く。


そして自分に引き寄せた。


「だから」


その声がいつにな苦しそうで。


あたしは思わず巧を見上げた。


「龍になんか相談するなよ・・・」


それは、どういうこと?


考える間もなく引き寄せられ、目の前に伏せがちな鋭い瞳を見た。


その刹那。


「ん・・・」
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