KISS

「子供できちゃったしな」


ぶっ!


・・・あたしはフラペチーノをことごとく吹き出してしまった。


もったいない、そして行儀が悪い。


「こ、子供・・・?」


「おう」


恐る恐る尋ねると、陽ちゃんは3本指を立てた。


「3ヶ月だってよ」


陽ちゃんがニヤリと笑う。


「結婚前に孕むなんてどーいうことよ!」


「孕むとか使うなよ、言葉的にキモい」


あたしがテーブルを叩きながら悶絶していると、入口に巧の姿が見えた。


「巧!」


名前を呼ぶと、あたしの存在より先に、陽ちゃんの存在に気づいたらしい。


明らかに嫌そうな顔をしながら近づいてきた。


・・・やっぱり、巧は気づいてないんだ。
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