KISS
「聞いてよ巧!陽ちゃん結婚するんだって!」
「いや、それよりも」
なんでコイツがいるわけ?
巧の問い掛けを無視して、あたしは更に話した。
「しかも3ヶ月なんだって!」
「はあ?」
巧は思い切り陽ちゃんを睨んだ。
「ってかコイツ誰」
「本気で思い出してないの、たく坊」
陽ちゃんが長い髪をかきあげて、巧に笑いかける。
陽ちゃんはポケットからタバコを取り出した。
「陽ちゃん、吸わないで」
「あ、えみってタバコの匂いダメ?」
「じゃなくて、赤ちゃんに悪いでしょ」
ぶっ!
あたしの隣で、巧がコーヒーを盛大に吐いた。