KISS

「たく坊、やっと思い出した?」


「まさか・・・お前・・・」


巧はこの世の果てでも見たかのように、叫ぶ。


「女かよ!」


「そっちかよ」


なーんだ、とでも言いたげに陽ちゃんは口を尖らせた。


「巧、覚えてない?あたしの従姉妹の陽ちゃん」


「従姉妹!?・・・従兄弟じゃなくて?」


確かに陽ちゃんは身長170センチはゆうにあるし、いつも黒系の服に身を包んでるから、男と間違われる。


「陽・・・ってお前、昔はフリフリ系の服着てなかったか?」


「あれ、俺の趣味じゃねーし・・・」


「俺、って・・・」


唖然と陽ちゃんを見つめる巧を見て、あたしと陽ちゃんは笑いが止まらなかった。
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