KISS
そのまま桜はパーティーには戻って来なくて、帰る間際になってから姿を現した。
「ごめんね、人に酔って疲れたのかな」
気丈に振る舞うけど、無理してるのは分かっていた。
「桜」
気遣いげに呼ぶ龍にもなんらかわりなく接している。
「ごめんなさい、心配かけちゃって」
「隠してたつもりはなかった」
龍は無理にでも話さなきゃいけないと考えたんだろう。
突然話を振った龍を見て、桜の表情はますます強張った。
「桜、あのさ」
「言わないで」
桜は聞きたくないとでも言うように、首を横にふるふると振った。