KISS
「あたし、聞きたくないよ…」


「最低3年は留学しようと思ってる」


「やだ…」


「もしかしたら、大学も「やめてよ!」


ほとんど泣き声に近い声。


「なに、それ」


「桜」


「龍は何とも思わないんだね!」


龍を思い切り睨んでいる桜の大きな瞳から、ポタポタとこぼれ落ちる涙。


「どうしてそんな平気そうな顔して言うの…?」


龍のポーカーフェイスは今に始まったことじゃない。


いつも何も興味なさそうな顔。


いつもは分かっていても、こういうときばかりは信じられないと考えたみたいだった。


「あたしは…嫌だよ……」
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