KISS
そのあと、あたしたちは黙ったまま帰路についた。
桜と龍と別れたあと、あたしは巧と歩きながら思う。
「自分に出来ること、考えてんだろ」
家の前についたとき、巧が顔を覗き込んできた。
「だっ、て…っ」
「やめろ」
いつになく厳しい口調。
「どうするか、なんて第三者が首つっこむことじゃねーし」
「でも!」
「俺だって今日初めて聞いた」
え一…
「俺にだって言ってなかった」
巧はそれだけ言ってあたしの頭をくしゃっと撫でると、自分の家へ入っていった。
「巧にも…」
言っていないくらい、大事なこと。
龍の気持ちも分からないわけじゃないけれど…。