KISS

約束

10年前−・・・


『隣に引っ越してきました、月島です』


そう言って頭を下げる母親の後ろに隠れる。


『こら、えみ!挨拶して』


あたしはそれでも隠れたままで母親を困らせた。


『ごめんなさい、酷く引っ込み思案な子で』


『きにしないで。うちの旭と巧に会います?』


今はもういない旭さんと巧のお母さんの笑顔、今でも覚えている。


『旭、巧ー』


呼ばれて出てきたのは、同じ歳くらいの男の子と、中学生くらいの女の子。


『こっちが旭。中学の2年ね。そしてこっちが巧。えみちゃんと同じ歳よ』


『こんにちは、えみちゃん!よろしくね』


そう言って微笑む旭さんと、あたしを不思議そうに見つめる巧。


それがあたしたちの出会いだった。
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