KISS
「龍が相手だったらめちゃくちゃ無理だよ」


「黙れ怪力」


あたしと龍がギャーギャー騒いでいる間も、桜はうっとりしている。


「全部をちょーだいなんて言われてみたーいッ」


・・・。


『俺に笑の全部をちょーだい』


・・・。


「えみちい、こぼしてる!」


「へ」


自分の服をみやると。


「ぎゃー!!!」


ミルクティーの染みが出来ていた。


うっ、ちょっと回想した隙に!


「・・・馬鹿」


巧があたしの腕を引っ張って立たせ、そのままズルズルとひきずっていく。


それを見送りながら、桜は呟いた。


「今更かもしれないけど・・・雪宮くんって・・・」


「笑のこと大好きだよなー」


龍も呆れたように肩を竦めた。
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