KISS
「寂しいってナニソレ」


急に見下ろすような視線。


・・・巧、身長のびた?


今更ながらに気づく、巧とあたしの間で変化したこと。


「本当に寂しいだけだと思ってるのかよ」


低い声。


思わずあたしは震えた。


こんなの、巧じゃない。


「た・・・」


巧。


そう呼ぼうとした声は掻き消された。


巧があたしの唇を塞いだことによって。


「ふ・・・んんっ!」


そのまま押されるように壁に背中をつく。


あたしは咄嗟に思った。


あたしは、巧から逃げられない。


「・・・これも寂しいだけだと思ってる?」


ようやく唇を離されて、巧が妖艶に笑った。


・・・からかってる。


顔が怒りと恥ずかしさで上せた。
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