KISS
巧はあたしの席のななめ前だから、すぐ近く。
いつもは学校で口は利かないくせに、今日は何故か後ろを振り向いてきた。
「話あんだけど」
・・・巧くん?
あたし、周りの子からの視線が痛いわ〜・・・
あたしの返事を聞く前に巧はあたしの手を引っ張・・・
・・・ろうとした。
だけど、引っ張れなかった。
あたしが巧の手をはたいたから。
「・・・」
「あ・・・えっと・・・」
痛い。
周りの驚いたような視線と、巧の怒ったような視線。
「・・・何で手ェ叩くわけ?」
静かに言う巧の声はいつもより低くて。
・・・何故かあたしは苛立った。
「いや、何で返事もしてないうちから巧についていかなきゃいけないわけ?」
「だから話あるって言ってんだろ!」
「何であたしが来て当然みたいなこと言ってるの!?あたし、巧の何でもないじゃない!」